始まりはいつだって、
小さな 種
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客も帰り、双子が本日の収穫(ファンから貰ったプレゼントの数)を競っていると
いつの間にか接客に回っていたらしいメルヴェがやってきた。
「…お二人とも毎度ながら凄いですね;」
「でしょー?ぼくらモテモテ?」
「まぁ当然だけどな!なんたってオレ等これでも王子だし!!」
胸を張って言ってのける双子の言葉も
山のように積まれているプレゼントの前では虚勢でない事が分かる。
「でも、ぼくもコクレンも女の子の数は大体同じ位なのに
ぼくの方が男の人のファンが多いのがちょっと…」(泣
少なからずダメージを受けているハクレンのプレゼントの山から、包みが一個落ちた。
「あ」
「何やってんだよハクー」
「こんなにあったら一個位落ちるって」
残った大道具の影に転がっていった包みを取ろうとかがむ。
「あれ?」
「どうしました?」
「ん〜、奥になんかあるー」
細い隙間の奥に、小さく黒光りするものがある。
「ゴキブリじゃないですか?」
「「ゴキブリって何?」」
息のあった二人の言葉にメルヴェは苦笑する。
かたや元プリンス。もう一方は元ホームレス。
住んでいた世界がまったく違うのである。
「なんだろう?コレ」
やっとのことで取り出したのは、小さくて黒く、硬いものだった。
「種か何かじゃねぇ?」
「かなぁ。ねぇメルヴェ、何の種か分かる?」
「どうでしょう。貸してくれますか?」
黒い種を手の平で転がしたり、光にかざして丹念に調べる。
「黒い種に、オレンジ色の細長い物が巻いてありますね」
それからすまなそうに種をハクレンに差し出す。
「すみません。私には分からないですね;
カリファさんだったら分かるんじゃないですか?」
「ゴキブリじゃないの?」
「違います!!」
小道具がごちゃごちゃ入った袋を抱え、テントの外へ向かう。
「カリファさんは、裏のほうで歌の練習をしてましたよ。
ついでに夕食の仕度も始めるので、折を見て帰ってきてくださいと伝えてください」
「んじゃあ、オレは先に帰ろうかな。ハク、一人で大丈夫だろ?」
「大丈夫だよこれ位。じゃあ、後で夕ご飯でね」
二人はテントを片付ける作業に、一人は暗い裏方へ向かっていった。
平和なことは、奇跡にも似た宝物
願わくば、何も起こらないことを